バッテリーの生涯管理:BMSが蓄積するデータとリユース・リサイクルへの応用
BMSは、車両の生涯を通じてバッテリーの状態データを蓄積し続ける「バッテリーの診療記録」のような存在です。このデータは、車両の運用中だけでなく、使用済みバッテリーのリユース(再利用)やリサイクルの段階においても、極めて重要な価値を持ちます。
BMSが記録する充放電サイクル数、最小・最大電圧・温度の履歴、セルバランスの状態、そしてSOH(健全性) などのデータは、バッテリーパックがまだどの程度の性能を残しているかを客観的に評価するための根拠となります。
例えば、EVから退役したバッテリーは、容量が70~80%程度残っていれば、定置用蓄電池(家庭や工場のエネルギー貯蔵)として第二の人生を歩むことが可能です。この時、BMSの生涯データがなければ、安全性や残存性能を正確に評価するのは困難です。データに基づいて健全なパックを選別し、適切な用途に再利用することで、バッテリーの価値を最大化し、環境負荷を軽減するサーキュラーエコノミー(循環型経済) の実現に貢献するのです。
FAQ
Q: 中古EVを購入する際、バッテリーの状態はどう確認すればいいですか?A: 正規ディーラーでの点診断では、BMSのデータを読み取り、SOH(健全性)を数値で提示してくれる場合が増えています。これがバッテリーの健康状態を判断する最も信頼できる指標の一つとなります。
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